2018年2月 増光をとらえた変光星

比較的天候の良かった2月だが体調不良を理由にサーベイは6日にとどまった。快晴の夜は10日以上
あったかもしれない。そんな中、先月に続き新星発見があいついだ。だが、私のf=135mmレンズでは
画角も含め捕らえにくい新星ばかりだった。今後、真剣に長焦点への移行を考えたい。
これで今年になって発見された新星は以下のように6個になり、この調子でいけば年間30個程度出現
するかもしれない?(笑)

PNV J11261220-6531086   2018 01 14.4861  11 26 12.20 -65 31 08.6  7.0 V  =nova Mus 2018
PNV J17180658-3204279   2018 01 17.8691  17 18 06.58 -32 04 27.9  11.0 U  =nova Sco 2018#01
PNV J13532700-6725110   2018 01 19.708   13 53 27.00 -67 25 11.0   9.1 U = nova Cir 2018
PNV J16484962-4457032   2018 02 06.8628  16 48 49.62 -44 57 03.2  11.7 = nova Sco 2018#02
PNV J17244011-2421463   2018 02 12.8339  17 24 40.11 -24 21 46.3  12.5  = nova Oph 2018
ASASSN-18ds            2018 02 24.36    17 03 47 51 -38 16 57.1  14.33  = nova Sco 2018#03

                 1.TOCPより

■PNV J16484962-4457032 2018 02 06.8628*  16 48 49.62 -44 57 03.2  11.7
掛川の西村さんが今年発見した2個目のさそり座新星。
7日の朝、Canon EOS 6D digital camera + 200-mm f/3.2 lensによる10秒露出の画像から発見された。
4日、5日、6日にも撮影されていて、その画像には写っていないという。
確かに快晴の日が続いていたが、ここまで連続で撮影されていることに脱帽である。
赤緯-44度の高度の低さよりも、この赤緯赤経が16h台に新星がでたことにも驚きである。
サーベイ撮影を始めて約35年、なぜかこのエリアは私の撮影領域になっていない。
9日朝にやっと撮影できた。画像から光度は9.2等で発見時より増光していたが、14日の撮影画像では
10等台になっていた。また、ASASーSNも8日に 2018-02-8.35 9.99でとらえている。
さすが人間ASAS-SNと言われる西村さんというところか。
3月に入って、AAVSOに報告された光度をみると、12.5~13等まで減光しているようだ。
イメージ 2
>TOCP PNV J16484962-4457032
http://www.cbat.eps.harvard.edu/unconf/followups/J16484962-4457032.html
>VSOLJ-NEWS
http://www.cetus-net.org/ml/vsolj-news/201802/msg00001.html

■PNV J17244011-2421463  2018 02 12.8339*  17 24 40.11 -24 21 46.3  12.5
群馬の小嶋さんが発見したへびつかい新星。
13日の朝、西村さんと同じ、Canon EOS 6D digital camera + 200-mm f/3.2 lensによる5秒露出の画像から
発見された。9日の朝の画像には写っていないという。5秒とは短い露出でISO感度はどのくらいなのだろう?
新星の位置にはHα輝線のある17等の赤い天体があったことや、ASAS-SNにより昨年10月には14等で
増光を捕らえていたことなどが追加報告され、正体がよくわからなかった。変光範囲が4等という新星も
珍しい。やっと、20日過ぎて国内外で分光観測が行われ新星と確認された。昨年の時点でASAS-SNが
PNVとしてリストアップされていてもおかしくないと思うが、ピックアップする基準から外れたのだろうか?
何か穴がありそうだ。
14日の朝には新星のために180mmレンズで撮影。限界の12等台でかろうじて写る。
現在はAAVSOへの観測報告データでは13等のよう。
イメージ 1

TCP J21013299+3957043  2018 02 24.7943*  21 01 32.99 +39 57 04.3  12.3
群馬の小嶋さんが25日に撮影した3画像から発見したTCP
その後、発見の4時4分の6画像にこの星が確認できるが、その40分後の4時44分に撮影した画像には
写っていないとの追加報告があり、フレアースターではないかと言われている。
フレアースターに遭遇する経験ないが、他の方から過去に聞いたことのある話である。

■ASASSN-18cs 2018-02-13.37 17:34:8.83 -43:05:50.5  13.67  
ASAS-SNが14日のサーベイ画像から発見したPNV。
光度は13.67でf=135mmでは厳しい。位置もこの時期限界で手も足もでない星である。
当初、新星と思われていたが、過去にASAS-3(=ASAS 173409-4305.8)で2001、2004、2008年など
何度か13等まで増光する様子がとらえられており、dwarf novaとのこと。(以下の画像)
ASAS-3は突発天体を狙い、新星も複数発見して成果もあったが、なぜこの星を見逃したのだろうか? 
他にも事例があった。昨年発見されたPNV J19321040-2052505である。この星はASAS-3のデータから
2003年3月31日に10等台までの増光が確認できている。
ASAS-3の全データを自動で再チェックできるシステムを開発するといくつかCVが発見できるかもしれない。
イメージ 3
>ATel #11300:ASAS-SN Discovery of a Possible Galactic Nova ASASSN-18cs
http://www.astronomerstelegram.org/?read=11300
>ASASSN-18cs: likely dwarf nova outburst in Scorpius (ATel #11300)
http://ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp/mailarchive/vsnet-alert/21874

■ASASSN-18ds 17:03:47.51 -38:16:57.1 2018-02-24.36 14.33
ASAS-SNが14日のサーベイ画像から発見した新星。今年3個目のさそり座新星。
上記同様、14等は雲の上。この星はスペクトル観測が行われ、新星と確認されている。

>ATel #11348:ASAS-SN Discovery of a Possible Galactic Nova ASASSN-18ds
http://www.astronomerstelegram.org/?read=11348
>VSOLJ-NEWS
http://www.cetus-net.org/ml/vsolj-news/201803/msg00000.html


                    2.変光星観測
■SCTV612=ASASSN-17hx
昨年ASAS-SNが発見した新星。夏には8等台まで増光し、12月3日の画像から10.6等の観測が最後。
年が明け減光していると思っていたが、14日に11等で検出。まだ明るくなぜかうれしい。

■GO Oph
VSXによると、M:  460: dとなっており、「コロン」がついているので確定はされていない。
ASAS-3では変光の様子がわかる。(以下画像)
イメージ 4

■番外 Nagasaki All Sky CV Patrol のその後
先月紹介した、長崎の前田さんという方の自動観測。順調に観測が進み、2月末で観測数が
N=13554 になっていた。時系列でスーパハンプや食の観測とは違い、原則一夜一星なのですごい!

■増光をとらえた変光星
変光星名」[観測yyyymmddhhmm] [光度x10][観測者コード][変更範囲・型]
AQLKZ 201802172929 110c Ymo 12.7-16.0p M
AQLVX 201802112916 91c Ymo 9.8-14.5V M
AQLVX 201802222917 91c Ymo 9.8-14.5V M1
AQLVX 201802232854 91c Ymo 9.8-14.5V M7
CYGFZ 201802222914 112c Ymo 12.0-15.2p M
NSVSJ1849005+095460 201802082913 113c Ymo 10.91(1.83)R1 MISC
OPHV450 201802082912 109c Ymo 10.9-14.1V M
OPHV450 201802132903 104c Ymo 10.9-14.1V M
OPHV450 201802172921 106c Ymo 10.9-14.1V M
OPHV648 201802222910 116c Ymo 12.5-<17.0p M
OPHV648 201802232846 116c Ymo 12.5-<17.0p M
OPHGO 201802132916 112c Ymo 14.3-<16.5P M:
PNVJ16484962-4457032 201802082935 9.20cG Ymo 10.0-<17.0V N
PNVJ16484962-4457032 201802132925 101c Ymo  10.0-<17.0V N
PNVJ17244011-2421463 201802132928 126c Ymo 12.8-16.7V N
SCOBH 201802082903 107c Ymo 14.0(1.5)P SR
SCTSZ 201802082914 105c Ymo 11.1-14.1V SRA
SCTV612 201802132918 113c Ymo 8.4V-19.1G N
VULEN 201802082923 105c Ymo 11.1-14.1V M
                               以上