雲間から かんむり座T星 を撮る 2024 04 05

 かんむり座の反復新星 T CrB(かんむり座T星)については、昨年からブログなどで何回か紹介しています。80年ぶりに近々爆発が予測されていて、世界の観測者が今か今かと待っています。爆発すると、北極星に近い、2~3等級まで明るくなることが知られていて、街中でも観ることが可能な明るさです。新星がここまで明るくなるのは、今でも脳裏に焼きついている1975年の白鳥座新星(V1500 Cyg)以来で、約50年ぶりの明るい新星爆発になります。ということで私も昨年からできるだけ監視するようしています。

 先日は晴れ間があったので撮影に出かけましたがすぐに雲ってしまいました。流れる雲の隙間から双眼鏡で観てみましたが増光は確認できませんでした。撮影も強行してみましたが、たくさんの画像の中でT星付近に雲が無かったのは2画像だけでした。この画像(RAW)からG画像を取り出してアパーチャー測光し、AAVSOの比較星を使って、ポグソンの式からT星の光度を見積りました。この近似と計算はもう15年以上も前にエクセルで作成した自前のものです。結果の光度は今までと変化なく10.4cG等でした。 

4月5日 午前2時の一色海岸から

雲の中のかんむり座T星 元画像

かんむり座T星のトリミング

 さて、肝心の爆発はいつになるのかですが、先回1946年の爆発前の光度変化や色指数の変化などの類似から一番信頼性が高いのが、2024.4年±0.3 とする文献です。中央値はまさに今、4月後半です。もし、8月まで爆発しなければこの予想が外れることになります。今年になって、記録の無かった過去の爆発の中から、1217年と1787年については可能性が高い増光記録が確認されました。先ほどの観測からの物理変化などを無視し、爆発周期の数字遊びをすると、1217年~1946年の9回の爆発平均は80.9年です。これを先回爆発の1946年にプラスすると、次回は、2026年12月になります。また、直近の3回の爆発間平均は79.1年で、これでは2025年3月です。いずれも今年は爆発しないことになりますが、ただ、1年や2年は十分誤差範囲なので数年以内に爆発するのは確実です。まだまだ、かんむり座の「C」が「摂氏の℃」になっていないか見上げる日が続きます。

 

REF.
*1:  arXiv:2308.13668(https://arxiv.org/abs/2308.13668
  The recurrent nova T CrB had prior eruptions observed near December 1787 and October 1217 AD
*2:CBET 5374(http://www.cbat.eps.harvard.edu/iau/cbet/005300/CBET005374.txt
  T CORONAE BOREALIS = NOVA CORONAE BOREALIS 1217
*3:CBET 5375(http://www.cbat.eps.harvard.edu/iau/cbet/005300/CBET005375.txt
  T CORONAE BOREALIS = NOVA CORONAE BOREALIS 1787
*4:novaaql1993’s blog 「寝床で 80年ぶりの新星爆発を捉える? かんむり座T星」
  (https://blog.hatena.ne.jp/novaaql1993/novaaql1993.hatenablog.com/edit?entry=6801883189076290461
*5:novaaql1993’s blog 「反復新星 T CrB  そろそろ臨戦態勢?」
  (https://blog.hatena.ne.jp/novaaql1993/novaaql1993.hatenablog.com/edit?entry=4207112889972499692