今年最初に出現した新星 PNV J18025353-2914151 = NOVA SAGITTARII 2024

 1月28日の早朝に、三重県の中村さんによって発見された「PNV J18025353-2914151」です。国立天文台経由でTOCPに掲載されていましたが、やっと、ミシガン州立大学らのメンバーによるスペクトル観測から古典新星と確認されたようです。

ATel #16428 (The Astronomer's Telegram)で、「Spectroscopic confirmation of PNV J18025353-2914151 as a classical nova in Sagittarius with a possible red giant progenitor」の報告がされました。

  位置や、光度、星の色などから新星であることは確実でしたが、発見者はその素性が気になるところだったと思います。新星発見おめでとうございます!朝方、低空なので分光観測が少し遅れたようです。国内での観測は公にはまだ聞いていません。

  位置の精測観測はありませんでしたが、発見当初からVSXには、同定する星は、OGLE-BLG-LPV-190334 となっていました。この星は赤色変光星です。ATEL の報告にも、この星の可能性が高いことが指摘されています。京都大学のK先生は、この星であれば共生新星か?とコメントされていました。今後の光度変動やスペクトル観測に注目したいところです。
  新星が発見されると、こぞって新星観測をしていた時代がありました。最近では観測機器も向上して、暗い星の観測が可能になり対象が増えました。矮新星の観測、スーパハンプの検出などはアマチュアが大きく貢献しています。新星が発見されて、「残念ながら矮の付かない方の星のようです」とコメントする観測者の方もいます。観測対象を示す面白いコメントなので頭に残っています。
  もうすぐするとCBETで公表されるでしょうが、順番からすると、この星は、V6599 Sgr というGCVS登録名がつけられると思います。写真は発見後に撮影した新星です。f=180㎜レンズの撮影ですが、PC画面のスクショトです。発見時より減光しています。また、発見日時を Stellarium(無料のオープンソースプラネタリウム)で再現して、発見位置に〇をつけてみました。 

Nova Sgr 2024 = PNV J18025353-2914151   2024 01 29.862

Nova Sgr 2024 = PNV J18025353-2914151   2024 02 02.883

昇る いて座と新星位置

昇る いて座と新星位置(大気減光を除く)

余談:発見された夜(早朝)は満月過ぎの大きな月もあって、低空に雲もあったと記憶しています。新星の高度も低く、こんなに低い位置に良く発見されるものだと感心しましたが・・・、思い出したのは、2020年の1月末に、同じような位置、いて座に11等の新星を発見した人がいました。