反復新星 T CrB  そろそろ臨戦態勢?

 来年秋の大彗星、COMET C/2023 A3(TSUCHINSHAN-ATLAS)は今から楽しみですが、もう一つ、話題になっています、反復新星 かんむり座T についてです。
銀河内での反復新星(回帰新星、再発新星)は、十数個程度ありますが、中でも T CrB(かんむり座T)は、爆発時の光度が最も明るい 2~3等まで明るくなる星として有名です。過去、1866年、1946年の2回爆発した記録があり、約80年ごとに爆発すると推測されています。ということで、次回の爆発は、2026年頃になります。
  1866年の80年前、1786年の記録は残っていないようです。当時はもう天文学も発達していましたが、星がたくさんの空で、2-3等級という微妙な明るさであったことと、減光が速いため超新星爆発と違い、見逃されていた可能性が高いとされています。
 最近の精測観測から今、先回爆発前の挙動と類似していて、1842-2022年間のライトカーブを基に、次回の爆発は、2025.5±1.3(2024年02月から 2026年9月の間)と予想する文献が出ています。それまでに別の明るい新星が出現しなければ、1975年の白鳥座新星(V1500 Cyg)以降、約50年ぶりの明るい新星出現ということになります。脱線しますが今でも、この白鳥座新星はNHKのラジオのニュースを聞いて外へ飛び出て見上げると、白鳥座の形が変わっていて驚き、慌てて固定撮影した記憶があります。

先回の爆発期間をそのままスライドすれば、次回爆発は、2025年11月8日になります。かんむり座T(15h 59m 30s +25d 55' 13")は、日本からは、観測しやすい位置にありますが、ちょうど11月初旬は、夕方に沈み、朝方昇ってくる低空になり条件がよくありません。また、t3=6d(爆発から3等級暗くなるのに 6 日)と早い減光なので、この時期だと肉眼で捉えるのが難しいかもしれません。ずれて欲しいところです。

 画像は、下弦の月明かりがありましたが14日夜(15日早朝)に撮影したものです。光度は約10等でした。もう一つは、爆発時に備えて観測できるように、AAVSOのチャートを作成してみました。α星が2.2等なのでこの星との比較になると思います。


 さて、他の再発新星の爆発周期を並べてみても、周期の幅は1~3年の違いは十分あるので、そろそろ気にしておく必要がありそうです。この爆発がいつになるのか、また、最初にそれを捉えるのは自動サーベイなのか、熱心な変光星観測者なのか、興味のあるところで今から楽しみです。

 

追加参考資料:

arxiv.org

T CrB 2023 03 14 28h55m

観測用星図(AAVSOサイトから作成)