西村彗星に思う

 8月に発見されて肉眼等級まで明るくなると予想されているためマスコミも注目しています。SNSには尾を引く素晴らしい写真がアップされていますが、デジタル写真技術の向上が大きく寄与しています。残念ながら、一般の人には難しい対象のようです。

新彗星は、自動サーベイで地球接近前に根こそぎ捉えられ、もうアマチュアでは発見できないと思われていた時代がありました。複数彗星を眼視で発見した知人がいますが、捜索者が写真に移行していく中で彗星探しを諦めてしまいました。実際の目でみて発見するのと画像から検出するのではその醍醐味が違うのでしょう。

また、彗星を探していた多くの人が発見確率の高い新星探しに移行しました。1960年代から彗星を発見された、西村さんの師匠は、新星10個発見しても彗星発見1個に劣ると言われてたようです。彗星発見の難しさを表現されたのでしょう。

 しかし、ここ10年ぐらいの間に日本人のアマチュアによる彗星発見がいくつかありました。太陽付近を探せばまだまだ発見の可能性があることを示しています。今回の西村彗星の発見画像を見せてもらいましたが、本気で彗星を探していれば、西村さん以外にも発見者がいてもおかしくなかったように思います。8月初旬は私の記録では日本各地の天候は良かったようです。

 画像は1996年の朝日新聞記事(著作権未確認)の抜粋です。30年近く前の記事ですが、今でも、「すい星王国」日本で、黒衣の方々のフォローが継続されています。悲しいのは、この記事出てくる年齢の人達がそのまま高齢者になって頑張っているということです。彗星の写真を撮る人は多くいますが、彗星を探す人は激減しています。

 一生発見できないかもしれない彗星、それでも探してみようと思う若いコメットハンターがでてくるのを期待したいところです。

1996年4月2日 朝日新聞 夕刊より